サステナビリティ
基本方針
人
健康リスクからの解放
創業当初から変わらない、ヘアカットに特化したサービスを提供するビジネスモデルは、薬剤を使わず洗髪サービスを行わないことから、余計な水や電力を使用しない利点があります。お客さまにとっては、髪の毛を傷めずに日々をお過ごしいただくことができ、働く側にとっても薬剤類による手荒れの心配やシャンプー等の中腰姿勢による腰痛からの開放につながっており、その結果、安心して永年勤続が可能な職場となっています。また、腱鞘炎など手や腕などへの負担を可能な限り抑えたバリカン技術を取り入れた独自のカット技法を開発し、積極的にそのノウハウを伝承していくことで、全スタイリストの共有財産となっています。
業界唯一無二の社内カットスクールを確立
2012年9月、東京からスタートした社内カットスクール「ロジスカット」は現在、仙台校、東京校(サテライト校として横浜校あり)、名古屋校、大阪校、広島校、福岡校、香港校、台湾校にまで広がっています。1日約8時間、集中した環境でトレーナーが近くにいる安心感やカットを論理的に教えてもらえる納得感に魅力を感じ、2023年6月期の「ロジスカット」経由の入社者の数は国内73名(前期比146%)、海外95名(前期比271%)となり、国内の在籍スタイリストの39.8%が「ロジスカット」出身となっています。2024年1月末には、これまでの累計卒業者数が650名を超えました。カット未経験者を積極採用することで、教える側のノウハウも蓄積され続ける、業界唯一無二の社内カットスクールです。
店舗展開の強み
ヘアカット専門店における国内店舗数は、534店舗で第1位となっており、第2位の261店舗の2倍を誇るシェアとなっています。フランチャイズ店舗が多い同業他社に対し、QBグループではサービスの均一化を目指した人材教育の徹底を図るため、直営店中心の事業展開をしています。また、全くヘアカット経験のない新卒のほか、異業種からの転職や、出産や育児のために一度業界を離れてしまった「休眠理美容師」と呼ばれるブランクのある資格保有者を対象として「ロジスカット」でプロとしての自立を支援。差別化を図れていることも、直営店舗が多いからこそのメリットです。
互いを認め合う社内カルチャー
理・美容師の退職理由のトップ3に入る人間関係。良好な人間関係を保つため、QBグループにはお互いをお互いに認めあう社内カルチャーがあります。例えば年代も幅広く分かれており、年代差別もなく20歳から80歳近くまでの方々が現役で活躍しています。若手はベテランから技術を学び、ベテランは若手から初心の気持ちや活力の源を享受しており、お互いにWin-Winな関係が築けている集団と言えます。
自ら掴みにいくキャリア支援
既存スタイリスト向けの研修としてヘアスタイル別の技術研修のほか、店長育成研修やエリアマネージャー育成研修、トレーナー育成研修など職能別の育成研修を用意、全ての社員が公正・平等にチャレンジできる権利をもっています。そして、その研修最終日に実施する試験に合格することで、昇給・昇格が実現する仕組みとなっています。頑張った人が報われ、昇給・昇格は自ら行う風土となっており、このようなキャリア形成の道を築くことで、役職に関係なく誰もが意識高く業務を遂行できる環境を実現しています。
働きやすい環境づくり
QBグループは、指名制を導入していないことから、理美容業界では珍しく土日の休みが可能であったり、月間の休日日数を年齢や体調に合わせて選択することができるなど、働きやすい環境を整えています。また、産休・育休に関しては取得後の職場復帰者もいますが、男性の育児休業取得率は60.7%、女性の育児休業復帰率は68.5%(いずれも2023年6月期)となっており、今後、人材を増やすことで改善をすすめていきます。また、評価制度についても、技術者や管理者としての目線を統一、評価ポイントを数値化するなどして、スタイリストの公平平等な評価制度に真剣に取り組んでいます。
障がい者雇用への取り組み
2022年6月よりQBグループでは、働きたいと願う障がい者の方々に喜びとやりがいを感じとっていただき、自立支援を行う農園と提携し、弊社雇用の障がいをお持ちの方々にベビーリーフやミニトマトなどを農薬を使わずに水耕栽培する取り組みを行っています。さらに収穫された野菜は、無農薬野菜として農園近隣のレストランに卸されており、良質でキレイな野菜と喜ばれています。引き続き、働きたいと願う方々を採用させていただき、しっかりと自立した、生き生きと輝ける人生を歩んでいくことのできる場を、提供していきたいと考えています。
サービス向上と待遇改善
安定したサービスの質の向上には、従業員の離職率を下げることが最も大切であると考え、業務委託方式から直雇用方式へと雇用形態を転換しながら、働く環境の改善に努めていきました。結果、2010年6月期に30%あった退職率は2020年6月期には6.6%まで下げることができました。コロナ禍の顧客減少にともない賃金ベースアップや期末手当の支給を見送ったことで2023年6月期末で退職率は一時的に増加しましたが、2023年8月から10月にかけて平均9.8%の給与処遇改善を実施したことで再び退職率は減少しております。今後も継続した待遇改善をすすめ、2024年6月期は退職率7%台までの改善を目指します。
海外進出国の雇用促進
海外のQB店舗では、日本のような国家資格制度がない国がほとんどで、日本人トレーナーが常駐して日本クオリティの技術やサービスを徹底的に学べる環境を提供し、現地人材の技能習得を全面的にサポートしています。アジア諸国においては、特に若年層や女性の社会的地位の向上や自立に貢献していきたいと考えています。
応募経路を増やしハードルを下げる(人材の流動化①)
ヘアカットを機械に頼れない理美容業にとって、人材の確保は最重要課題です。QBグループでは一般応募のほか、ヘアカット未経験者やかつて働いていた元QBグループ勤務者(アルムナイ採用)、さらに社員の紹介からの応募者(リファラル採用)といった応募する側の応募へのハードルを低くするための専用窓口をリクルートページに用意しており、IndeedJapanが主催する「オウンドメディアリクルーティングアワード2021」にてグランプリを獲得しました。さらに理美容専門学校への出張授業や各種SNSを通じて接点をつくるなど、人材確保につながるであろうあらゆる手段に取り組んでいます。
『休眠理美容師』採用の強化(人材の流動化②)
子育てを終えたり、他業界へ転職した、いわゆる休眠理美容師と呼ばれる方々は「ハサミを持つ感覚を取り戻すのに時間がかかりそう」「カットができない人を採用してくれるわけがない」と、理美容業界への応募を諦めてしまいます。そういった方々の受け皿として、「ロジスカット」を採用の強みとして私たちは捉えています。一方、サービス料金的に採用のハードルが低いだろうと容易に応募される方もおり、パートを含めた全体的な採用率の平均は3割程度となっています。人が全ての理美容業界。技術と接客が両軸でしっかりしている人間味あふれた方を優秀な人材と捉え、人物重視で採用を進めています。
法的基準を満たしたスタイリスト
日本は世界に数か国しかないとされる、理美容業に従事するために国家資格の取得を必要とする国のひとつです。理美容の専門コースがある高校もしくは高校を卒業したのち2年制の理美容の専門学校を卒業し、かつ国家試験に合格した者のみが、理美容店での勤務を許されています。また、QBグループでは、生年月日が記載された理・美容師の資格証書の現物を必ず確認させていただいた上で人材を採用しており、児童就労を一切行っておりません。さらに体力がつづく限り活躍していただきたいという想いから定年制も設けておりません。なお、2024年6月期の採用目標人数は前期比121%の222名となっております。
環境
ビジネスモデル自体が地球に優しい
2050年には、世界人口の4割が深刻な水不足に陥ると言われている大切な資源「水」。仮に、一般的な理美容室で5分のシャンプーを受けると、使用する水の量は60リットル必要となります。また、業務用ドライヤーを毎回10分使用すると、年間で40.56KgのCO2を発生させている計算になります。業界にイノベーションを起こした当社のビジネスモデルは、水・電力の使用が限りなく抑制でき、2023年6月期の売上高227億円に対し、水道光熱費の占める割合はわずか1.3%。創業当初から地球環境に優しいサービスであったと言えます。なお今後は、TCFDフレームワークに則り、取り組んでまいります。
RE100アクションを増やしていく
店舗運営に必要な電力は、CO2排出量ゼロの環境に良い電力を選択しています。QBグループが国内で自由に電力会社を選択できる路面店23店舗では、株式会社UPDATER様(みんな電力)の「RE100プラン(再生可能エネルギー100%プラン)」の電力を使用しています。契約する23店舗の電力の年間使用量は約320,000kWhとなり、この電力使用量は 、杉の木のCO2吸収量で計算すると約11,600本に相当します。また、店舗立地の半数を占めるイオングループ様の店舗では、順次、イオングループ様が推進されております「地産地消の再エネ100%」の電力を使用させていただいております。
※RE100プラン: 再生可能エネルギー由来の電気に、再生可能エネルギー指定の非化石証書の環境価値を組み合わせることで、再生可能エネルギー100%の電気が供給されるプラン。また、CO2排出量もゼロとなる。
資源はとことん有効活用
独自開発のユニット家具は、構造を可能な限りシンプルにしたり、閉店した店舗のユニット家具の表層部分の化粧板を磨いたり交換することでリメイクし、再利用へとつなげています。また、カット練習をするためのウィッグ(人頭マネキン)は、理美容専門学校の授業で使い終えたものを無償でご提供いただき、技術向上のための練習用として丸坊主になるまで再利用をし有効活用しています。さらに従来、お客さまへお渡ししていたクシは、2021年5月より洗浄・消毒し再利用する方法に切り替えることで年間690tのCO₂を削減※しています。
※2018年6月期~2020年6月期の3期分に使用したクシの平均本数を、環境省発行「平成23年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の概要。」(ポリプロピレンの製造時および焼却時に発生するCO2排出量)に基づき算出
社会
カットの技術で小児がんの啓発活動
シンガポールでは2006年頃から、QBスタイリスト数名が休日に有志で高齢者施設へ出向き、ボランティアカットを行っていました。この活動きっかけに、取り組み内容やクオリティの高さが現地の厚生労働省などに評価され、2015年から小児がんの子どもたちへの支援を目的とした国内最大級のチャリティイベント「Hair for Hope※1」のオフィシャルスタイリストスポンサーを務めています。毎年4月から約4か月間、シンガポール国内の学校や病院、コミュニティセンターなど十数カ所で5名程度のQBスタイリストが、20~300名の参加者の頭を、7月末のメインイベントでは約40名のQBスタイリストが2日間で約1,717名※2の参加者の頭を、バリカンでカットしていきます。この期間に集まった400万シンガポール$(日本円で約4億4,000万円)を超える寄付金は、闘病中の子どもたちの治療費や病気で学校に通えない子どもたちのための教育施設運営に使われ、小児がんへの理解促進、治療に励む子どもたちの生きる希望や勇気へとつながっています。
※1 主催:Children's Cancer Foundation
※2 Hair for Hope2023実績
右記の動画はコチラ → https://www.youtube.com/watch?v=nCkVCdTmagA
未来の理・美容師に向けた授業
主に中学生を対象として、理美容業に関わる大切さ、時間的価値、感謝する・感謝されることを伝え、そこから生まれる心の豊かさを知り社会的自立を育む機会として、職業体験プログラムを用意しています。
⇒過去実績はこちらをクリック
<「職業体験学習」 に関するお問合せ>
こちらから「取材・IR・職業体験・出張授業について」を選択し、お問い合わせください。
ヘアカット専門店をもっと身近に
地域との関わりの一環として、「ヘアカット体験」や「ご家庭でできるお子さまカット」をレクチャーするイベントなどを通じ、理美容業を身近に感じていただく試みも実施しています。
ヘアカット体験を通して将来の選択肢のひとつに
東京都内の店舗に児童養護施設の子どもたちを招待して始まったボランティアカットは、ヘアカットを受けるだけでなく職業体験(バリカン体験)を通して、髪を切ることの魅力を伝え、将来の職業選択の一つとして、理美容師を選んでもらうきっかけを作る機会を提供しています。
カットの楽しさと奥深さを 将来の理・美容師に
理美容専門学校への出張授業としてカット専門店のバリカン講習を定期的に受け入れていただいています。専門学校生の多くは卒業するまでにバリカンに触れることもなく、どの学校でも「新鮮で楽しかった」、「バリカンカットって楽しい!」と、よい感想をもらえています。
ガバナンス
▶ いつの時代も公正公平に
1996年の1号店オープン以来、私たちは皆さまの温かいご支援により、無事に四半世紀を迎えることができました。「失われた20年」「失われた30年」とも呼ばれるバブル崩壊後の社会において、労働環境や地球環境は大きく変化していき、社会の考え方や捉えられ方が変容し、法の整備・改正も数多おこなわれてきました。これまでもそうであったように、私たちは引き続き、移り行く社会・法律の変化に迅速に対応し、常に時流に則したコンプライアンス経営をすすめてまいります。
コーポレート・ガバナンス
弊社は社会の変化に迅速に対応できる健全経営を心掛けています。詳細はコーポレート・ガバナンスページ(http://www.qbnet.jp/ir/management/governance/)をご覧ください。
ディスクロージャー・ポリシー
諸法令や適時開示規則に従った適切な情報開示を行うため、ディスクロージャーポリシー(http://www.qbnet.jp/ir/policy/index.php)を定めています。
取締役会
重要な業務執行に関する意思決定および取締役の職務執行を監督する機関として、取締役会を原則月1回、必要に応じて臨時取締役会を開催しています。2023年6月期における個々の取締役の出席状況は右記のとおりです。
職場環境ホットラインの設置
職場内では相談・解決しがたい下記の事柄について、いつでも誰でも相談できる窓口として、内部相談窓口と外部相談窓口があり、直接相談のできる2つの「職場環境ホットライン」もしくは「対応マニュアル」を設置します。また、社員がいつでも閲覧できるポータルサイトやバックヤードにて周知も図っています。
セクシャル・ハラスメント/パワー・ハラスメント/カスタマー・ハラスメント/コンプライアンス違反/事件事故犯罪
自然災害発生時の対応
地球温暖化の影響と思われるゲリラ豪雨や台風、大雪、地震などの自然災害発生時は、事前対策や迅速かつ臨機応変な判断が不可欠となります。当社では報告・連絡・相談のフローや緊急時の連絡手段の事前共有、災害発生時のシフト対応方法を店舗のバックヤードに掲示して周知を徹底し、従業員・顧客の安全確保に努めています。
知的財産管理
海外で事業展開を行っていることもあり、当社ではリスクマネジメントの一つとして、国内外合わせて多くの知的財産が存在します。登録済のものだけでも商標登録89個、意匠登録6個、特許登録2個を有しております。理美容業で、意匠登録や特許登録は珍しいかもしれません。